映画「ウォッチメン」は2009年に公開されたヒーローアクション映画です。
原作となったDCコミック「ウォッチメンは」、1986年~1987年に制作されたドキュメンテーション形式の物語で、巨匠アラン・ムーアがストーリーを執筆し、デイブ・ギボンズが作画を担当しました。
歴史的事件や実在の政治家などをストーリーに組み入れた、大人向けの非常に重厚な作品となっています。
映画「ウォッチメン」では原作がほぼ忠実に映像化されており、放映時間はなんと3時間35分にもおよびます。
今回は、そんな映画「ウォッチメン」の内容についてご紹介します。
映画「ウォッチメン」のあらすじ
「ウォッチメン」の物語は、1985年のアメリカから始まります。
ニューヨークでエドワード・ブレイクという男性が自宅で殺害され警察は調査を行いますが、被害者の身元すら特定できず調査を諦めます。
警察が引き上げた後、事件現場に一人の男が侵入します。
フェドーラ帽子にトレンチコートを着込み、顔には奇妙な模様の浮き出たマスクを被ったこの男こそ、かつての被害者の仲間であり今は非合法でヒーロー活動を続けているロールシャッハでした。(劇中のアメリカではキーン条例という法律により、スーパーヒーローによる自警団活動は禁止されています)
エドワードは、かつてロールシャッハと同じ「ウォッチメン」に所属するスーパーヒーローの一人でした。
エドワードの死によりこの事件が「ヒーロー狩り」であると見抜いたロールシャッハは、かつての仲間たちに警告して回りますが仲間たちは本気にしません。
やがて元悪人(ヴィラン)で現在は更生しているモーロックが殺害された現場に居合わせたことにより、ロールシャッハ自身も逮捕されてしまいます。
また、その超常的な能力により米ソ開戦の抑止力ともなっていたDr.マンハッタンも自身のせいで知人や元恋人を不幸にしたと思い込み、火星に引きこもってしまいます。
Dr.マンハッタンのいない隙を好奇と見たソ連がアフガニスタンに侵攻し、第三次世界大戦は目前に迫ったかに見えました。
Dr.マンハッタンの恋人だったシルク・スペクターは、「ウォッチメン」のメンバーだったナイト・オウル の元に身を寄せ、二人は惹かれ合います。
2人は自警団活動を再開し、ロールシャッハの考えを認めた二人は彼を刑務所から救出します。
やがてナイト・オウルとロールシャッハは、この事件の鍵をかつての仲間であるオジマンディアスが握っている事をつきとめ、彼の秘密基地がある南極へと向かうのでした。
映画「ウォッチメン」の登場人物解説
ロールシャッハ(ウォルター・ジョセフ・コバックス)
元「ウォッチメン」のメンバーです。
ナイト・オウルとは友人で、かつてはよく二人で組んで悪人退治を行っていました。
彼のマスクは圧力や熱に反応して模様を変える「ロールシャッハテスト」のような特殊な布でできており、醜い顔を覆うこのマスクを「自分の顔」と認識しています。
己の正義感に忠実でありつづけ、キーン条例の制定後も密かにヒーロー活動を続けていました。
終盤ではオジマンディアスとDr.マンハッタンの考えに同意できず、袂を分かちます。
独自の捜査により判明した事実を手記として残しており、南極に向かう直前これを新聞社に送付します。
ナイト・オウル2世(ダニエル・ドライバーグ)
元「ウォッチメン」のメンバーで、初代ナイト・オウルから名前を引き継いだ2世ヒーローです。
梟をモチーフにしたコスチュームを身に纏い、銀行家の父が残した遺産を使って様々な装備を作り出しました。
見た目は眼鏡をかけた冴えない中年男性ですが、友人のロールシャッハのために激昂するなど、未だ熱い正義感を内に秘めています。
ちなみに余談ですが、ナイト・オウル2世を演じたパトリック・ウィルソンは、DC映画「アクアマン」で主人公アクアマンの弟であるオームを演じています。
コメディアン(エドワード・モーガン・ブレイク)
「ウォッチメン」の前身である「ミニッツメン」の頃から活動を続けていた元スーパーヒーローです。
一般のヒーローと違い自身の暴力性を隠そうともせず、この世界が暴力と欺瞞に満ちた世界であり、自分がその体現者であるとしています。
キーン条例制定後は政府公認のヒーローとなり、ベトナム戦争やジョン・F・ケネディ暗殺など様々な歴史的事件に関わってきました。
ストーリーの序盤で自宅で何者かに殺害されます。
Dr.マンハッタン(ジョナサン・オスターマン)
元「ウォッチメン」のメンバーで、 元は物理学者でしたが核実験の事故により全身が分子レベルに崩壊され、その後自力での再構築を経て復活します。
復活後は過去・現在・未来の出来事を同時に認識し、あらゆる原子を自在に操るなど神にも等しい能力を得ますが、それと同時に人間性を徐々に失っていきます。
その超常的能力からアメリカの国防の要とみなされており、政府公認のヒーローとしてコメディアンと共にベトナム戦争にも参加しました。
真っ青な肌の均整の取れた男性の姿をしており、額には水素原子をモチーフにしたマークを描いています。
量子力学的な宇宙観を持つ彼は、恋人であるシルク・スペクターを「人類との唯一の接点」と見なしています。
シルク・スペクター(ローレル・ジェーン・ジュスペクツィク)
元「ウォッチメン」のメンバーで、母親である初代シルク・スペクターから名前を引き継いだ2世ヒーローです。
キーン条例が制定されヒーローを引退してからは、恋人であるDr.マンハッタンと暮らしていましたが、徐々に人間性を失いつつある彼についていけず破局します。
Dr.マンハッタンの失踪後はナイト・オウル2世ことダニエルの元に身を寄せ、やがて彼と恋人になります。
終盤では自身の出生の秘密を突き止め、Dr.マンハッタンが人間への興味を復活させるきっかけを与えることになります。
オジマンディアス(エイドリアン・ヴェイト)
元「ウォッチメン」のメンバーで、 現在は引退してヴェイト社を経営しています。
ヴェイト社はかつてのオジマンディアスをキャラクター商品として展開する他、Dr.マンハッタンの能力を応用した技術により様々な開発を行っています。
自身も高速で動き弾丸を素手で掴むなど高い身体能力を持ち、その卓越した頭脳から「世界でもっとも賢い男」の異名をとっています。
自社で経済界の大物たちと会談していたところを、悪人チェスにより襲撃されます。
モーロック・ザ・ミスティック(エドガー・ジャコビ)
元悪人(ヴィラン)でコメディアンにより逮捕されましたが、出所後はエジプト宅配社に勤め、定年してからは一人で静かに暮らしています。
末期ガンを患っていましたが、自宅で何者かに殺害されます。
ドラマ「ウォッチメン」、2019年にHBOで放送開始!
原作、映画ともに完結している「ウォッチメン」ですが、実は2019年にHBOにてドラマ化が決定しています!
ただしストーリーは原作や映画のリメイクではなく、従来の「ウォッチメン」とは違う全く新しい物語となるようです。
ちなみにキャストの一人オジマンディアスを演じるのは、なんとDCEUシリーズでバットマンことブルース・ウェインの執事アルフレッドを演じたジェレミー・アイアンズ!
「世界でもっとも賢い男」の異名をとるオジマンディアスことエイドリアン・ヴェイトの、老年の姿にぴったりの役柄ですね。
また映画「ダウンサイジング」でゴールデングローブ賞にノミネートされた女優ホン・チャウ(Hong Chaou)が、ベトナム人女性のLady.Tという役を演じることも分かっています。
さらに、映画「アクアマン」で悪役ブラック・マンタを演じたヤーヤ・アブドゥル・マティーン2世も、メインキャストの一人を演じる事が報じられています。
脚本家のデイモン・リンデロフは、本作について次のように語っています。
「我々が作るのは単なる続編ではない。この作品はクリエイターにとって非常に骨の折れるものとなるだろうが、物語はまったく新しいものになる。見る者に問題を提起し、まったく新しい価値観を通して世界を捉えさせる作品であるべきだ。そのために最も重要なのは、現代的であることだ。」(私訳)
まだまだ情報の少ないドラマ版「ウォッチメン」ですが、放送されるのが楽しみですね!
映画の内容が気になった方は、ドラマ放送前に是非一度視聴してみてください!
コメント