モンキー・パンチ先生が影響を受けたアメコミ雑誌「MAD」とは?

2019年4月16日に訃報が伝わった、巨匠モンキー・パンチ先生。

代表作「ルパン三世」で有名なモンキー・パンチ先生が、実は強く影響を受けた雑誌がありました。

それが、1952年からDCコミックスで創刊されているアメコミ雑誌「MAD」です。

これがどんな雑誌なのかと言うと、生活や大衆文化、政治、娯楽、有名人などを風刺したいわゆる風刺マンガを掲載している雑誌です。

雑誌の表紙にはどこかで見たことがあるような人物やキャラクターが多く登場しており、内容の風刺も実に様々。

最近では、「ブラックホールが盗撮された」なんて風刺画が掲載されるなど、常に最新のトピックスを追いかけ続けています。

今回は、そんなモンキー・パンチ先生も影響を受けた雑誌「MAD」についてご紹介します。

モンキー・パンチ先生と雑誌「MAD」の出会い

モンキー・パンチ先生と言えば、その独特の絵柄と作風で、日本の他の漫画とは一線を画しているのが特徴です。

ペンネーム自体も、西欧風の作風に併せて「どこの国籍の人が描いているか分からなくするために付けられた」という話はあまりにも有名ですが、ではなぜ先生の絵柄は西欧風なのでしょうか?

それは先生が若い頃から海外のマンガ作品、特にアメコミをよく読んでおられたからだと言われています。

なかでも、昔「MAD」で活躍していたモート・ドラッカー(Mort Drucker)というアーティストがお好きだったそうです。

ちなみに、モート・ドラッカーとは、カリカチュア (※)を描くアーティストとしてはかなり有名な方で、元々はナショナル・ペリオディカル出版(現在のDC)でゴーストライターなどをしていました。

その後、雑誌「MAD」に移り様々なアートを手がけ続けて、数々の賞も受賞されています。

なんと、御年90歳で現在もご存命です。

また、DCだけでなくアニメや映画、CDアルバムなど多岐に渡りイラストを作成し続け、その中の一部はスミソニアン協会の国立肖像画美術館に展示されています。

(※)カリカチュアは、人物の性格や特徴を際立たせるために誇張や歪曲を施した人物画のことで、よく風刺画などで用いられる画法です。

モンキー・パンチ先生の他にも影響を受けた「MAD」な作家

実は雑誌「MAD」が影響を与えたのは、モンキー・パンチ先生だけではありませんでした。

もうひとりは誰かというと、あの「天才バカボン」や「おそ松くん」で有名な赤塚不二夫先生です。

赤塚先生は1970年に訪米した際、雑誌「MAD」の編集部を視察し大きく刺激を受け、「日本でもMADのような雑誌を作ろう!」と考えます。

そうして創刊されたのが、「まんがNo.1」でした。

この雑誌のコンセプトは、「漫画家が編集方針を決め、漫画家がそれに従って描く」というものです。

編集側の方針を押し付けられる事なく、自分たちで方針を決めて雑誌を運営して行きたいという思いがあったのでしょうね。

この「まんがNo.1」は赤塚不二夫先生が責任編集を担当するという事で話題性はあったものの、実は多忙な赤塚先生に代わり、他の人が編集を行っていました。

結果、運営は順調とは言えず翌年の1973年に第6号を以て廃刊となってしまいます。

余談ですが、「MAD」は外国語翻訳もされており、現在でもオーストラリア、ドイツ、ポーランド、スペインでは翻訳版が出版されています。

ですが残念ながら日本では、1979年~1980年までにアンソロジーが発刊されたのみでした。

「まんがNo.1」といい、「MAD」といい、日本ではあまり風刺マンガ雑誌は人気がないんでしょうかね・・・。

ちなみに元祖「MAD」の方は最初、コミックス、所謂マンガ本として発売される予定でしたが、アメリカの規制が厳しかったため雑誌として売り出す事になりました。

その後みるみる人気が出て、最高で200万部の売上を叩き出した事もあるそうです。

その人気を受けて一時期は月間誌になったこともありましたが、現在は年間6号のペースで発売されています。

それでも2017年時点で14万部を売り上げているそうですから、今でもアメリカで最も読まれている雑誌の一つと言えます。

怖可愛い?「MAD」のマスコット、アルフレッド・E・ニューマン

ところで皆さんは、アルフレッド・E・ニューマン(Alfred E. Neuman)というキャラクターをご存知でしょうか?

名前を聞いていまいちピンと来なくても、この顔を見れば思い出すかもしれません。

わかりましたか?(笑)

上に載せてあった、モート・ドラッカーさんの後ろにも写ってましたよね。

このキャラクターは雑誌「MAD」のマスコットキャラクターとして、1956年から現在まで「MAD」の「顔」として使用されています。

このニューマンくんは彼単体で表紙を飾る事もありますが、ある時は有名人、ある時はアニメキャラクターなど、その時々によって彼の顔をした「どこかで見たような人物」として頻繁に表紙に登場します。

目の焦点がずれていたり、何とも言えない笑顔を浮かべていたりと、私は正直怖いような気がするんですが・・・。

これが「MAD」ではもう何十年も使われている人気キャラクターなのだそうです。

また、その皆が知っている優れたアイコン性ゆえに、「MAD」の中だけでなくコミックスなどでネタとして登場する事もあります。

特に風刺が効いていて面白いと思ったのは、ジョーカーが不思議な力で世界を作り替えてしまうストーリーライン、「Superman: Emperor Joker」に登場した時です。

この話の中では、「Alfred E」という神を崇拝するカルト集団が登場し、このカルトの司祭はニューマン君くんのマスクを被っています(笑)

さらに、DCの枠を飛び出してアメイジング・スパイダーマンのコミックスに登場したり、アニメシリーズ 『シンプソンズ』にも何度か登場しています。

最後に、偉大な作家モンキー・パンチ先生に改めて哀悼の意を捧げます。

ご冥福をお祈りいたします。

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