映画「シャザム!」は『家族』がテーマ、次回作への伏線も

2019年4月19日、ついに映画「シャザム!」が公開されました。

前情報では今までのDCEU路線とは違うコミカルなストーリーとの事でしたが、いざ蓋を開けてみれば、笑いあり、シリアスありで思わず涙ぐんでしまう場面も・・・。

劇中で描かれていたビリーの孤独と成長を通して、本当の『家族』とは何なのかを考えさせられる作品となっています。

この記事では、そんな映画「シャザム!」の内容について解説します。

映画「シャザム!」主人公ビリーとDr.シヴァナの対比的な描かれ方

劇中に登場する主人公ビリー・バットソンと、悪役Dr.シヴァナ。

2人の関係性は、もちろんヒーローと悪役(ヴィラン)の敵同士なのですが、この二人のキャラクターは尽く対比的に描かれています。

簡単に纏めてみると、以下の通りです。

  • 家族を「作る」子供と、家族を「壊す」大人
  • 望まず手に入れた「七つの大いなる力」と、望んで手に入れた「七つの大罪」

一つずつ見ていきましょう。

家族を作る子供と、家族を壊す大人

まず、主人公のビリーは孤児です。

彼は幼い頃に遊園地で母親とはぐれてしまい、以来里親の家を転々としてきました。

最終的にグループホームを経営しているヴァスケス家に引き取られますが、そこで出来た里親や義兄弟たちにも、最初は心を開きません。

唯一の心の拠り所は、今もどこかで生きているはずの本当の母親に会いに行くことで、これまで警察の情報を盗んでは何十人もの「バットソン」さんに会いに行っています。

対するDr.シヴァナは、大企業シヴァナ産業の経営者一家の次男として生まれますが、子供のころから父親にも兄にも否定され続け、鬱屈した人生を過ごします。

そんな中、突如魔術師シャザムに神殿へと召喚され試練を与えられますが、誘惑に勝てなかった彼はそのシャザムにも否定されてしまいます。

以来彼は同じような現象に合った人物の事例を集め続け、再びあの神殿に行くことに執念を燃やし続けてきました。

二人の唯一の共通点は、「誰かに認められたい」という強い思いだけです。

ビリーは実の母親に再会して受け入れてもらう事、Dr.シヴァナは魔術師に認められ大いなる力を手にする事です。

また、劇中ではビリーが「ほぼ15歳」と答えているのに対し、Dr.シヴァナは冒頭の1974年時点で約10歳くらいと仮定して、おそらく55歳くらいです。

ヴァスケス家は夫妻も含めて全員が孤児という共通点で繋がっており、お互いを理解し支え合おうと努力します。

一方、シヴァナ家では父に気に入られている兄が会社の経営陣に加えられる一方で、Dr.シヴァナは冷遇され続けます。(母親についてはキャスティング段階までは行っていたものの、結局登場しなかったためわかりません)

最終的にビリーは全く血の繋がらない人間を「家族」として受け入れますが、Dr.シヴァナは手に入れた力を使い、ずっと憎んでいた実の父親と兄を殺害します。

ですが最後に父親が息子に対して掛けた言葉も、まるで突然現れた「他人」に向けるような命乞いなのです。

望まず手に入れた「七つの大いなる力」と、望んで手に入れた「七つの大罪」

主人公のビリーは、フレディを不良たちから守り逃げる最中に魔術師シャザムに召喚され、力を与えられます。

ヒーローオタクのフレディと違い、ビリーは元々ヒーローには関心がありませんでした。

ですが誰しも、心の中では「自分が特別でありたい」という願望を持っているものです。

孤独な人生を歩んできた為、15歳という若さにも関わらず一見クールに見えるビリーでも、それは例外ではありません。

劇中でも、最初は訳が分からず戸惑っていましたが、次第に手に入れたスーパーパワーに夢中になって行く様子が描かれています。

フレディと一緒になって自分の力の限界を試してみたり、「大人になったらやってみたい事」を次々と実行して行きます。

(この時の音楽がまたQUEENの名曲「Don’t stop me now」で、2人の悪ノリな行動とよくマッチしています)

この過程を通して、最初は苦手に思っていたフレディと一気に打ち解けて行くのは、見ていて微笑ましいシーンですね。

つまり、当初ビリーはあくまでも偶然「七つの大いなる力」を手に入れただけでした。

「大いなる力には、大いなる責任が伴う」とは、ヒーロー映画ではよく議題に挙げられるテーマですが、ビリーもその力に伴って、次第に自分がヒーローとしてどうあるべきかを考え始めるのです。

一方、Dr.シヴァナは子供の頃にシャザムに否定されて以来、再びあの神殿に行き、次こそは超常的な力を手に入れようと躍起になって生きてきました。

その為、およそ45年にも渡り研究を続けてきたわけですから、恐ろしい妄執です。

(ある意味、家族から変人扱いを受けるのも当然かもしれません)

ですが、Dr.シヴァナの真の目的は「七つの大いなる力」ではなく、「七つの大罪」を手に入れる事でした。

Dr.シヴァナは魔術師シャザムに言い放ちます。

「真に純真な者など、この世にはいない」

Dr.シヴァナは、自分が純真な心など持っていない事、シャザムの力には相応しくない事を分かった上で力を求めます。

そのため、まずは自分に相応しい「七つの大罪」を手に入れ、その後ビリーの持つシャザムの「七つの大いなる力」をも手に入れようとするのです。

Dr.シヴァナには、手に入れた力を使い自分がヒーローになろう等と言う考えは一切ありません。

目的のためには手段を選ばず、ビリーをおびき出すためフレディを始め他の義兄弟たちをも人質に取り、ビリーに力を渡すよう強迫します。

シャザムの正体がビリーである事を知った義兄弟たちもビリーを救おうとしますが、普通の子供である彼らでは「七つの大罪」には歯が立ちません。

大切な義兄弟たちを守るため、その時ビリーが取った選択とは?

Dr.シヴァナは自分の力を使い父と兄を自分の人生から「排除」しました。

一方ビリーは、一度本当の家族を失い、そして新しい家族(シャザム・ファミリー)を作ります。

そう考えると、彼らの最終決戦の場が遊園地であった事は、とても象徴的だったと言えます。

映画「シャザム!」次回作への伏線ブラック・アダムと謎の声の正体

ところで、劇中ではシャザムの宿敵ブラック・アダムについては簡単に触れられるのみでした。

魔術師シャザムがビリーにこれまでの経緯を説明する際、一瞬映像として登場しますが、これはやはり現在制作が予定されている単独映画「ブラック・アダム」への伏線だと思われます。

さらに、獄中のDr.シヴァナが新たなる力について研究しているシーンで呟いていた言葉も、ブラック・アダムの持つエジプト神の「七つの力」に繋がります。

ちなみに、劇中ではブラック・アダムの力を求めるDr.シヴァナに何者かが語りかけるシーンがありました。

この声の正体は、「シャザム!」に度々登場する悪役(スーパーヴィラン)Mr.マインドです。

最初はシャザムの宮殿の片隅に一瞬だけ登場し、Dr.シヴァナの独房にもいつの間にか入り込んでいたあの不気味な虫です。

このMr.マインドは、「シャザム!」がまだ「キャプテン・マーベル」だった時代から登場している古典的な悪役です。

高度な知性を持つスペース・ワーム(宇宙虫)で、初登場から直近のリバース作品まで、様々な形で物語に取り入れられてきました。

強力なテレパシー能力で人間を操り、大抵は「モンスター・ソサエティ・オブ・エヴィル」という悪の組織を使い計画を企てます。

また、幼虫から成虫になると次元そのものを食い荒らし、文字通り歴史を改変するなどチートな能力を持っています。

しかも何とか倒したと思っても、無性生殖で無限に増える事が出来るなど非常にやっかいな敵なのです。

このキャラクターを出してきたという事は、今度はMr.マインドがDr.シヴァナを操るという形で、再び彼を悪役として復活させようという次回作への伏線かもしれませんね。

余談ですが、このMr.マインドの声は映画「シャザム!」の監督デイヴィッド・サンドバーグが演じています。

映画「シャザム!」ラストにはあのスーパーヒーローも登場!

公開前から噂になっていた、シャザムとスーパーマンの共演ですが、結果的には実現しましたね!

ですが、やはりと言うかDCEUシリーズでスーパーマンを演じたヘンリー・カヴィル本人の登場とはなりませんでした。(理由はスケジュールの都合がつかなかった為と言われています)

ラストシーンではフレディを喜ばせるため、サプライズでシャザム(ビリー)が友達を紹介するという展開でしたが、映ったのは首から下だけ・・・。

ランチタイムに「親友」シャザムがフレディの元を訪れ、「ついでに友達も連れてきたよ」と言う言葉に振り向くと、そこにはなんとスーパーマンが!

座っているフレディがすぐ側に立った高身長のスーパーマンを見上げているため、角度的に顔が映らないという演出は上手く作ってあり、特に違和感はありませんでした。

ちなみに、この首から下だけのスーパーマンを演じたのは、ザッカリー・リーヴァイのスタントダブルであるライアン・ハドリー(Ryan Hadley)です。

映画「シャザム!」全体の感想

まず個人的に大好きな点が、Dr.シヴァナのキャラクターです。

シャザムことビリーとフレディがヒーローパワーに大はしゃぎする中、ファー付きのブラックコートに身を包み、しかもスキンヘッドという怪し過ぎる雰囲気のDr.シヴァナ。

劇中ではシャザムのコスチュームがユニーク過ぎると色々な人から指摘を受けていますが、真っ赤な全身タイツに白マントと言う、ある意味ヒーローとしてはテンプレ的な姿です。

それに対し、悪役(ヴィラン)であるDr.シヴァナは一見服装は普通ですが、2人が対峙すると逆にその普通さに却って違和感を感じます。

シャザムとのやり取りも、シリアスな台詞からコミカルな掛け合いまで様々でしたが、宇宙人でも神でもなく、あくまでも素は「人間」である悪役(ヴィラン)としては完璧な演技だったと思います。

流石は悪役(ヴィラン)の大御所マーク・ストロングと言った感じでした。

DCEUとは違う作風をあえて打ち出したこの映画「シャザム!」ですが、あくまでもストーリーが子供目線というのがポイントだと思います。

スーパーマンやバットマンなど、既にある程度年齢を重ねた大人から見た世界ではなく、まだまだ限られた世界(自分の周り)しか見えていない子供の目線。

突然凄い力を手に入れても、やってみたい事はビールを飲んだり、力を大道芸のように見せびらかしてお小遣いを稼いでみたりとかなり限定的です。

悪人の登場に「よし!悪者を退治するぞ!」と意気込んでみても、いざピンチになると「子供だから殴らないで!」と頼んだり逃げ出したりします。

そんなシャザム(ビリー)が、兄弟たちと力を合わせ目の前の目標を達成する事で、少しだけ成長する物語。

まだまだ中身は子供でスーパーマンのようには行かないけれど、だからこそこれから沢山の経験を積んで、自分たちの純真な正義のために活動していくんだぞ、という綺麗な世界を見た気がしました。

あと色々と参考になったのがアメリカの学校の描写です。

ヴァスケス家の子供達はみんな同じ学校に通っているのですが、それが実にアメリカらしい感じでした。

具体的に言うと、まず学校に入るのに空港のような手荷物検査があります。

これはよくニュースにもなっている、学校での銃乱射事件などを防ぐためでしょうね。

さらに、守衛が常に学校の出入口を見張っています。

これは学校への不法侵入を防ぐ目的もあるでしょうが、生徒を勝手にエスケープさせないようにする為のようです。

さらには学食があり、学年によって利用する時間帯が決まっているようです。

ヴァスケス家の子供たちは、下はサンタを信じる小学生から、上は来年大学に進学する高校生の子まで揃っていますので、かなりのマンモス校なのでしょうね。

あと、エンディングで使われていたアニメーションも面白くて良かったです。

シャザムとジャスティス・リーグとの夢の共演を見ることが出来ました(笑)

また、お馴染みのEL(エンドロール)後のショートシーンでは、前作「アクアマン」の大成功へのやっかみを含めたメタ的なやり取りも見られるなど、最後まで楽しませてくれる作品でした!

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