映画「バーズオブプレイ」ストーリーの意味を全て解説!<ネタバレ>

映画「バーズオブプレイ」が2020年3月20日にとうとう日本で一斉公開されました。

この作品は映画「スーサイド・スクワッド」で一躍存在感を高めたハーレイ・クインのスピンオフ作品であり、ハーレイとその仲間たちの活躍が見所です。

女性キャラクター5人を中心にたった2時間の映画によくもまあ、これだけの情報量を詰め込んだな!というくらい様々な設定が出てきましたよね。

テンポの良い作品なので普通に見ても十分に面白いのですが、DC作品にあまり馴染みのない人にとっては、「そもそもこれってどういう意味なの?」と不思議に思った場面も多かったのではないでしょうか?

この記事はそんな方たちにも解りやすいように、ストーリーの概要とポイントをあらためて解説します。

思いっきり<ネタバレあり>なので、気になる方は映画を観た後に読んでくださいね!

始まりはジョーカーとの破局から・・・

そもそもの始まりは、主人公ハーレイ・クインとジョーカーの破局です。

映画「スーサイド・スクワッド」ではハーレイとジョーカーのラブラブっぷりが殊の外際立っていましたが、原作ではこの2人は既に破局しています。

というより、ハーレイ単独の活躍はむしろジョーカーと別れてからが本番であり、彼女の単独シリーズは決まってジョーカーとの失恋後からスタートします。

この映画の序盤でも、(結局原因は不明でしたが)ジョーカーに捨てられたハーレイが、なんとか1人で立ち直ろうともがき苦しむ様子が描かれています。

ローラーダービーでストレスを発散してみようとしたり、ナイトクラブで好き放題してみたり、そして酔った勢いで2人の思い出の場所であるエース・ケミカル工場(※)を大爆破!

映画「スーサイド・スクワッド」でハーレイはジョーカーへの愛を示すために自ら化学薬品タンクに飛び込み、ジョーカーと同じ出生の道を辿ることで彼の分身ハーレイ・クインとして生まれ変わる。

なかなか周りに言い出せないでいたジョーカーとの破局を大々的に世間に公表します。

ですがそれは、自分の心に一つの区切りをつけると共に皮肉にも、

”ジョーカーの女ではなくなった=これまでの恨みを晴らす絶好のチャンス!

と周りに認識させてしまったのでした。

かくして、元々ハーレイを良く思っていなかったブラックマスク(ローマン・シオニス)を筆頭に、ゴッサム中の悪人および警察からも追われる身となったハーレイ・クイン。

そこに、これまた様々な事情を抱えた女たちが関わってくることになるのです。

ペットのハイエナの名前はなぜブルース?

ハイエナと言えば、古くはアニメシリーズから登場していたハーレイの相棒です。

もともとハーレイは、ハイエナだけでなく動物が大好き!

人間には容赦しなくても動物には優しくメロメロで、原作でも行き場を失った動物たちを何十頭もアパートに迎え入れたりしています。

本来は常に2頭ワンセットで登場し名前も全然違うのですが、本作品では1頭のみを迎え名前をブルースと名付けています。

劇中でハーレイは「ウェイン家のあの人にちなんで付けた」と言っていますが、では何故その名前にしたのでしょうか?

バットマンに馴染みのある人ならご存じだと思うのですが、実はゴッサムの大富豪ブルース・ウェインこそがジョーカーとハーレイの宿敵バットマンの正体です。

もちろんハーレイはバットマンの正体がブルース・ウェインとは知りませんので、単に愛するペットに理想の男性の名前を付けただけなのでしょう。

バットマンは表向きは、若くてハンサムでそのうえお金持ちな独身男性として知られているため、いわば世の女性の憧れの存在なのです。

ハーレイも失恋の痛手を癒すため、正統派イケメンの名前をペットのハイエナに付けたのでした。

ブラックマスクの描かれ方とキャラクター

ブラックマスクことローマン・シオニスは、「バットマン」シリーズに登場する古参の悪役です。

ローマン・シオニスは大企業ヤヌス・コスメティックス社の代表であり、同時に暗黒街の顔役としての一面も持っています。

劇中でも、大企業の経営者一族であるブラックマスクに警察が手を出せなかったり、街中の至る所にヤヌス・コスメティックス社の看板(※)が掛かっていたりと、その影響力はかなりのものです。

ハーレイが爆破した思い出のエース・ケミカル工場も、ヤヌス・コスメティックス社の所有となっている。

原作においてゴッサム・シティにはいくつかの有力な家系と、それに連なる大企業が存在しますが、ヤヌス・コスメティックス社はバットマンが経営するウェイン産業に匹敵する企業の一つとされています。

そもそもがゴッサム・シティの旧名家にはいくつもの後ろ暗い過去が存在するため、ヤヌス・コスメティックス社だけでなく悪役ペンギンの旧家コボルポット家など、その殆どが裏社会と何らかの繋がりを持っているのです。

映画のなかではむしろナイトクラブの経営者としての描写が強くなっており、直接会社経営には携わっていないようでしたが、それでも表向きの影響力が強い故に警察も迂闊に手が出せないでいます。

もともとブラックマスクは、バットマン(ブルース・ウェイン)との対比キャラクターとして作られており、ともに大企業の御曹司として生まれながらも全く違う人生を送る2人の対決が見所です。

ちなみに、原作でブラックマスクは親の死後ヤヌス・コスメティックス社の経営を傾けており、その窮地を幼馴染(※)であるブルース・ウェイン(バットマン)に救われた事を逆恨みして悪の道へと進んでいきます。

バットマンには同じく旧名家出身のトーマス・エリオットという幼馴染もいるが、こちらもブルースに恨みを持ちハッシュという悪役になったりしているので本当に碌な知り合いがいない。

ところでこの映画で特に私が面白いと思ったのは、ブラックマスクの性格の描かれ方でした。

ハーレイに「女嫌い」と言われる一方、ブラック・キャナリー(ダイナ・ランス)を気に入り自慢のコレクションを披露して得意げになったり、その彼女に裏切られた事に本気でショックを受けたりしています。

一方、右腕であるビクターとは上司と部下というよりむしろ仲の良い友人のように接しており、ビクターの方も自分だけがブラックマスクの理解者を自称するなど、親密な様子が描かれています。

まるで悪だくみが好きな少年がそのまま大人になったような感じですよね。

権力(財力)はあっても悪役としては今一つ、プライドばかり高い割に能力が見合っていない上、ナルシストでサディストという新しいブラックマスクのキャラクターをユアン・マクレガーは上手く演じていたと思います。

もっとも、原作ではブラックマスクはかなりの強敵なので、「こんなアッサリ、しかもバットマン以外が殺しちゃっていいの?」と少し拍子抜けでしたが、原作では彼はキャットウーマンに殺されていますし、他のビッグネームを持ってくるよりは妥当な線なのかもしれません。

ハントレスの過去とカサンドラ・ケインの未来

全身黒づくめで無表情、復讐に燃えるハントレスの正体は、かつてゴッサムで最も強力なマフィアだったバーティネリ家の生き残りヘレナ・バーティネリです。

実はハントレスにはこれまでいくつかの設定(※)が作られており、ストーリーの公開時期によって内容が違っていたのですが、その殆どで目を覆いたくなるような壮絶な過去を持つ人物として描かれています。

中にはバットマンとキャットウーマンの娘ヘレナ・ウェインとして設定されていたストーリーもある。

それ故、悪に対するヴィジランテとしても行動が過激であり、バットマンにも仲間として認められないなどバットファミリーからは一線を置いた存在となっています。

そんな彼女が自分の居場所として一番活躍できたのが「バーズ・オブ・プレイ」であり、ここでハントレスは多くのストーリーで中心人物の一人(※)として描かれています。

劇中でも最終的にハントレス、ブラックキャナリー、そしてレニー・モントーヤ刑事はゴッサムに残り「バーズ・オブ・プレイ」を組織するため、むしろ本作でのハーレイはこのメンバーを結びつけるための切欠に過ぎない。

劇中では財産を狙うブラックマスクにより一族を皆殺しにされた悲劇の少女として描かれています。

自分の家族を殺した犯人たちに報復するため、イタリアのシチリア島で暗殺者としての訓練を受けたハントレスは、ゴッサムに戻ってビクター・ザーズを含む犯人をボウガンで苦しめながら殺害。

家族殺害の実行を指示したブラックマスクにも敵意を向けます。

人生を復讐に捧げてきたハントレスは腕は立つものの人とのコミュニケーションが苦手で、ハーレイたちとの会話もどこかズレています。

一方のカサンドラ・ケインは、この映画で最もキャラクター改変が大きい人物です。

本来カサンドラ・ケイン(別名オーファン)は、原作ではまだ子供ながら暗殺者の両親に育てられた生粋の殺人マシーンという設定です。

喋る事よりも戦う事を優先して育てられたため、人とのコミュニケーションが下手で悪人の倒し方も過激、それ故バットファミリーでも浮いた存在というのが基本設定でした。

この二人には共通点が多いせいか、映画ではカサンドラ・ケインの設定の多くがハントレス側に片寄され、劇中では殺人マシン=ハントレスの特徴が殊更強く描写されていたように思います。

反面、カサンドラは原作と同じなのは東洋人(らしい)という設定くらいで、単にスリが得意な以外は自立心の強い普通の少女として描かれています。

本当の両親については分かりませんが、酷い里親(※)に引き取られどこにも自分の居場所がないカサンドラは、スリをすることで必死に自立しようとしているのです。

実際アメリカでは補助金を目当てに子供を引き取り碌に面倒を見ない里親も存在するらしく、映画「シャザム!」の主人公ビリーがヴァスケス家に引き取られたのは運が良かったとも言える。

ちなみに映画のラストでカサンドラは、念願叶ってハーレイの元に弟子入りし新しい人生を歩き始めますが、この二人の関係および映画の基本ストーリーは「Harley Quinn: Behind Blue Eyes」(※)というコミックスが元になっています。

2000~2004年に連載されていた「ハーレイ・クイン」単独シリーズの後期ストーリー。50万ドルの価値を持つ11歳の孤児アマンダをゴッサム中の悪人たちから守ることになったハーレイ。少女に隠されたとてつもない真実に迫るうち、2人の間には奇妙な信頼関係が築かれていく。 

モントーヤ刑事とブラックキャナリーそれぞれの恋人

劇中ではさらっと紹介されていましたが、レニー・モントーヤ刑事はレズビアンです。

彼女の登場は古く、当初はゴッサム市警に勤務する刑事という脇役としての印象しかありませんでしたが、登場回数が増えるにつれバーズ・オブ・プレイを始めとしていくつかのストーリーで存在感を増し始めます。

特に当時はまだ珍しかった”ヒスパニック系”、”レズビアン”としての側面が強調され、近年ではバットマンの仲間のひとりであるバットウーマン(※)の恋人として描かれるなど、単なる脇役には収まらないキャラクターになりつつあります。

正体はブルース・ウェインの母方の従妹ケイト・ケインであり、バットマン不在時にバットウーマンとして代役を務めた事が切欠でバットファミリーの一員のような位置づけになる。有能だがレズビアンである事が原因でいろいろと苦労しており、彼女も心の闇を抱えている。ちなみにドラマでバットウーマンを演じたルビー・ローズも、自身がレズビアンであることを公表している。

私としてはゴッサム市警察の一員としてゴードン刑事部長や武骨ながらも芯のある正義感を持つブロック刑事とのコンビの印象が強かったのですが、劇中と同じく警察内部の腐敗に幻滅し退職後アルコール依存症になるなどかなりの苦労人です。

一方、劇中で唯一の超人パワーの持ち主ブラックキャナリーは、親子二代に渡り活躍してきた超古典的ヒロインです。

劇中でもハッキリ母親がヒーローだったとは言及されていませんでしたが、「警察に協力的だった」「自分より他人の命を大切にしていた」と言われていましたね。

母親の女性ヒーローとしての特徴を受け継いだブラックキャナリーは、「ジャスティスリーグ」にも加入する正統派の女性ヒーローであり、同じくジャスティスリーグのメンバーであるグリーンアロー(オリバー・クイン)の恋人としても知られています。

原作でも彼女は芯がしっかりした、かつ周囲への優しさも持つ女性ヒーローとして描かれており、映画ではブラックマスクに雇われつつもカサンドラを心配しモントーヤ刑事に救助を頼むなど、本来のキャラクターが生かされていると感じました。

そして何よりも特筆すべきなのが、彼女の歌声です!

劇中で唯一のメタヒューマン(超人)であるブラックキャナリーの必殺技は、キャナリーボイスと呼ばれる超音波です。

序盤のナイトクラブで歌うシーンに彼女の高音域がグラスを割る描写がありましたが、しっかり必殺技として戦闘でも使用されたのが嬉しかったです!

知ると得する?劇中に散りばめられた小ネタ

ここでは、映画の中にこっそり挿入されていたちょっとした小ネタについて紹介します。

気づいた人もいたかもしれませんが、これを知っているとまた新しい楽しみ方ができるかもしれません。

ハーレイの幼少期

映画のスタートはハーレイの自己紹介から始まりましたが、本作品では酷い父親に何度も捨てられ、最終的には施設に預けられたとされています。ハーリーン・クインゼルの人生についてはいくつかの設定が作られてきましたが、同じく家庭環境に恵まれなかったものと、優しい両親と弟たちがいる家庭で育った両極端なパターンが存在します。ただし、幼少期の性格はどれも似たり寄ったりです(笑)

ローラーダービー

原作コミックでもハーレイは、生活費を稼ぐために地下(アンダーグラウンド)で行われているローラーブレードの賭け試合に選手としてエントリーしています。怪我をしたり死んだりしても文句なしの裏試合のため、彼女にコテンパンにやられた女性選手が復讐にきたりしていましたね。

ビーバーのぬいぐるみ

ハーレイの部屋に不気味なビーバーのぬいぐるみが置いてありましたが、あれ実はぬいぐるみじゃなくて剥製なんです。原作コミックでは名前をバーニーといい、ハーレイは頭のなかで常にこのバーニーと会話しています。失恋の痛手を抱える彼女にとっては、心の安定剤のようなものなのです。

警察署の手配書

ハーレイが警察署に貼ってあった手配書を見て「コイツ知ってる!」という場面がありますが、これはスーサイド・スクワッドのメンバーだった「キャブテン・ブーメラン」ことジョージ・ハークネスです。映画「スーサイド・スクワッド」のラストではアマンダ・ウォラーに逆らったため一人懲罰房に入れられていましたが、無事(?)脱走したようですね。ちなみにハークネスを演じたジャイ・コートニーは、新作映画「The Suicide Squad」でも同役での出演が決定しています。

テレビに映っていた女優

モントーヤ刑事の部屋のテレビに映っていた白黒の映画に気づきましたか?写っていたのは、1990年代のアニメシリーズでハーレイ・クインを演じた女優アーリーン・ソーキンです。ハーレイを生み出したポール・ディニとブルース・ティムは、この女優さんの女ピエロ役を見てハーレイ・クインのキャラクター造形を思いついたという逸話があります。

遊園地のブービートラップ

ハーレイがブラックマスクに待ち合わせ場所として提示した不気味な遊園地跡は、ジョーカーが使っていたアジトの一つです。ジョーカーは拠点として遊園地とくにピエロがモチーフとなるアトラクションを選ぶ事が多く、ハーレイはもしもの時に備えて武器が貯蔵されており、かつ勝手知ったるこの場所を選びましたが、生憎めぼしい武器類はジョーカーにより持ち去られていました。

思い出のTシャツ

ハーレイが「思い出の品」と言っていたボロボロのTシャツは、彼女がスーサイド・スクワッドで着ていたものです。木造のボックスにいくつか入っていた道具を見るに、ジョーカーはハーレイの私物だけをアジトに置いて行ったようですね。

ジョーカー

ほとんど一瞬だけハーレイの回想に出ていたミスターJことジョーカーですが、あれを演じていたのはJohnny Goth(ジョニー・ゴス)というカリフォルニアのロックミュージシャンです。実はこの方は映画「スーサイド・スクワッド」でジョーカーを演じたジャレッド・レトスタンドダブルだった人。公開前の事前情報で期待を持っていたものの、結局ジャレッド・レト本人は映画に出演しませんでした。次回作などでもジョーカーがストーリーに直接絡まず、今回のような回想シーンだけの登場であれば影武者でも十分という事もあり、映画評論サイトなどでも今後のジャレッド復帰は絶望的と見られています・・・。

 

ここまで見てきたように、この映画には原作コミック「Harley Quinn」シリーズの設定が多く取り入れられています。

というより、話の大筋はほぼ「Harley Quinn: Behind Blue Eyes」 とNEW52以降の「Harley Quinn」シリーズで構成されているようです。

ハーレイ・クインの生みの親であるポール・ディニやブルース・ティムを始め、コミック原作者達の名前がEDにずらりとクレジットされていた事からも、脚本家と監督の原作へのリスペクトが感じられます。

ハーレイ・クインの今後と抑えておきたいオススメ作品

映画を観終わった感想を一言で言うと、とにかく楽しかったです!

コロナの影響もあり見に行くのを迷いましたが、思い切って(しかもDolbyDigitalで!)観て本当に良かった!

今後の予定としては、予告されていたようにちゃんと三部作として作成されるのかが気になるところですが・・・。

エンドクレジットが期待外れだったので次回作については判断が付きませんでしたが、まあ何事も興行成績次第だと思いますので、そういう意味ではタイミングが悪かったとしか言えません。

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また、映画を観て「もっとハーレイの事が知りたい!」と思った方は、原作コミックを読んでみる事をオススメします。

映画「スーサイド・スクワッド」を見た人は原作を読むとあまりの違いにガッカリするそうですが、映画「バーズ・オブ・プレイ」を好きな人ならきっと気に入るはずです!

現在どこも品薄状態のようですが、これをきっかけに小プロが増刷を決めてくれるとよいですね!

それでは長くなりましたが、今回はこのへんで!


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